【経営者の「万が一」の備え③】生きがいを考える余裕があまりないときは?

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執筆者 石神大揮

2015年より愛知県でヘルスケア事業を経営。順調に拡大していたが、単体での成長に限界を感じ、譲渡側としてM&Aを実施。譲渡後は大手企業で、50人以上のマネジメントや譲受側としてM&Aを経験。大病を機に人生観が大きく変わり、「深く人の人生に関わる仕事をしたい」と一念発起。M&Aworksの創業に参画。

【経営者の「万が一」の備え③】生きがいを考える余裕があまりないときは?

(私は、30代にして悪性の脳腫瘍と診断され、明日を生きられるかどうかもわからない日々を過ごしました。約1年半の闘病生活を経て、寛解し、以前と変わらぬ生活が送れるまでに回復できました。『人生、何が起こるか分からない』。この言葉を私ほど感じているM&Aプレーヤーはいないと思います。このコラムは、こうした私の経験・体験から、『経営者の方々をはじめとする皆さんに、私なりのメッセージを届けたい』という思いから、私自身や弊社社員が経営者の方から受ける質問や相談にお答えするというかたちで構成しています。主観的な内容が含まれますが、あらかじめご了承いただき、最後まで読み進めていただきたいと考えています。なお、特定を避けるため、質問や相談に関して個人情報等にかかる部分は加筆・修正をして掲載しています。)

体調と向き合わなければいけない時間も多く、これからの人生の過ごし方や生きがいを考える余裕があまりありません(60代、男性、製造業経営)

ご体調と向き合うなかで、人生について考えられる機会が増えていることと思います。心の余裕が少なくなるときもあるかもしれませんが、一つのタイミングとして、ご自身の人生について整理してみるのはいかがでしょうか。

入院や療養が必要な場合でも、体調が落ち着いている時間を見つけて、ご自身のやりたいこと、大切にしていることを書き出してみる。それだけで気持ちがスッキリするかもしれません。何かを決める必要はありません。まずは頭の中を整理するだけで十分かと思います。

その上で、今回、伝えたいメッセージは、やりたいことは、なるべく今すぐやるべき、ということです。

私自身、30代で病気(脳腫瘍)に直面するとは想像もしていませんでした。現在は寛解の状態ではあるものの、幸運な状況であると理解しています。

病気の経験をしてからは、『せっかく人生をやり直すきっかけをもらったんだから、自分のやりたいことは絶対にやる』と考えるようになりました。何かに迷っている友人、仕事上でお付き合いがある経営者の皆さんに対しては、「人生何があるかわからないから、やりたいことがあるなら絶対に今すぐやるべき」と伝えるようにしています。

これは、何かを押し売りしたいわけではありません。自分の経験を踏まえ、心からそう信じているからです。

私は学生時代に野球をしていたこともあり、体力には自信がありました。大きな病気もしたこともなく、不自由を感じることもなく生活していました。異変を感じたのは、病気が発覚する2か月前。倦怠感です。疲れがなかなか取れませんでしたが、一時的なものだろうとあまり気にしませんでした。

1か月経過しても体調は改善せず、倦怠感は強くなるばかりでした。なぜもっと早く気づかなかったのかと後悔もしますが、当時は「自律神経が乱れているかもしれない」とも思っていました。その後、目の前のものが全て二重に見えるようになり、MRI検査後すぐに入院となりました。

『なぜ自分なんだろう』と自問自答する時間はつらかったです。

それでも、回復したときのことを想像するようにしました。人生をやり直すきっかけをもらえたんだと前向きに捉え、回復したら、やりたいことは絶対にやろうと決心しました。

入院中、早速実践したことがあります。まずは『食べたいものを食べる』こと。入院食がどうも口に合わないときがあったので、お見舞いに来てくれる友人にリクエストして、好きなものを届けてもらいました。この時間がすごく楽しみで、精神的にも安定しました。

また、会いたいと声をかけてくれる方々には、体調がすぐれないとき以外は全員に会うようにしました。なかには、迷惑をかけるのではと気遣って連絡をためらっていた人もいたようです。私からメッセージを送ることで、心配を和らげて、会うことにつながった人もいました。

さらに、社会復帰を見据えて簿記の勉強にも取り組みました。体調の影響で時間の確保が難しかったときもありましたが、『復帰したらすぐにリスタートしたい』という思いは強かったです。ビジネス会計検定の勉強にも力を注ぎ、一時帰宅のタイミングで受験しました。

退院後はM&A仲介会社で活動していますが、入院中に資格の勉強をしたことが今も活かされており、やりたいことをやろうと決心したことを良かったと思っています。人生の大きな岐路ともいえるM&Aにおいて経営者の方々と関わることにもやりがいを感じています。

『ご自身の生きがいは何か』と考えると、何か難しい話に聞こえるかもしれません。しかし、私はシンプルなものだと考えています。

それは、『やりたいことをやる』ということです。

もちろん、自分勝手に振る舞うという意味ではありません。もともとやりたかったこと、今やりたいと思うことに素直になり、一歩踏み出してみる。

生きがいとは、きっとこれぐらいシンプルなものでいいのではないでしょうか。

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