【廃業かM&Aか悩んでいる方へ】 それぞれのメリット・デメリットを比較!

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執筆者 塙宗一郎

大学卒業後、大手ハウスメーカーに入社。関東エリアを中心に注文住宅の提案営業として7年従事。関連工事会社の人材不足、後継者問題を目の当たりにし、同じように経営課題を抱えているオーナー様の手助けがしたいと決意し、M&Aコンサルタントに転身。金融系M&A仲介会社にて、相談から成約までの一連の業務を一気通貫で担当。その後、M&A worksの理念と代表安藤に共感し、М&A worksに参画。

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後継者不在や業績不振などの要因で廃業を検討する経営者は少なくありません。ですが、M&Aという選択肢を取ることで廃業を免れ、自社を存続させたり、従業員の雇用を維持したりすることが可能です。

廃業すべきかM&Aを実施すべきか悩む経営者に向け、今回の記事では、廃業とM&Aにおけるそれぞれの特徴、メリット・デメリットを解説していきます。自社がM&Aを実施できるのか知りたい方の参考になるよう、廃業を前提にしている場合でもM&Aが可能な企業の特徴も説明していきます。ぜひ最後まで読み進めてください。

(M&A works は弁護士等の専門家と連携・情報交換を行っていますが、弁護士法人ではないため、この記事は法的な見解を述べるものではありません。個別の具体的な方法論については、必要に応じて弁護士等に相談することを強くおすすめしております)

1. 廃業・M&Aの基礎知識を理解しよう

廃業すべきか、M&Aを実施すべきかは、いずれも企業経営にとって極めて重要な決断になります。いざという時に冷静な判断ができるよう、それぞれの手法がどのような意味を持ち、どのような影響を及ぼすのか、基本的な知識を理解しておくことが大切です。

1-1. 廃業とは会社を解散させること

廃業とは、経営者や個人事業主が事業の継続を断念し、会社を清算・解散するプロセスを指す言葉です。具体的には、経営者の高齢化に伴う後継者不在、赤字の継続により再建の見込みが難しくなった場合などに、自主的に決断するケースが見られます。

資産の売却や債務の整理を実施し、最終的に法人格を抹消することで廃業が完了します。廃業を選択した場合、会社や事業の継続を断念することになりますが、一定の場合には経営判断としてやむをえない選択肢となるケースもあるとされています。

1-2. M&Aとは会社や事業を第三者に譲渡すること

M&Aとは、企業の株式や事業を他の企業や個人に譲渡し、経営を承継してもらう取引のことを指します。株式譲渡、事業譲渡などの形式があり、後継者不在の解決策や、成長戦略の一環として活用されることが増えています。

M&Aを通じて第三者に引き継ぐことで、法人格や従業員の雇用、取引関係などを維持しながら会社を存続させることが可能です。こうした理由から、一定のメリットを享受できる選択肢としてM&Aが広く認知されるようになっています。

2. 廃業を選択するメリット・デメリット

ここでは、廃業という経営判断に伴うメリット・デメリットについて解説します。

2-1. 廃業を選択するメリット

廃業により企業としての活動を終了させることで、事業運営に伴って発生していた債務を整理・清算し、法的に清算処理を完了させることが可能です。これにより、経営者個人が今後背負うリスクを最小化し、資産の保全を図れるでしょう。

例えば、後継者不在により事業継続が困難なケースでは廃業という選択肢をとることで、法人格を維持したままの休眠状態と比べて、法人税・住民税の均等割のコスト回避や、税制上の一定の優遇措置を受けられる場合があります。結果として、経営者個人の資産の保全に繋がる可能性があります。

さらに、市場の変動や経営環境の悪化など、将来的な収益改善が見込まれず事業継続が困難と判断される状況下では、早期の廃業判断によって、将来的に発生しうる追加的な損失の拡大を防ぐことも可能です。このように、廃業は、経営に関わる諸問題を解決し、個人資産の保全にも寄与する有効な手段となる場合があります。

2-2. 廃業を選択するデメリット

一方、廃業には、社会的・経済的負担も伴う場合があります。なかでも懸念の一つが、従業員の雇用です。事業終了に伴い、従業員との雇用契約を全て終了させる必要があり、その対応に不備がある場合、労務トラブルや不当解雇リスクを招く可能性があるなど、経営者にとって、社会的責任の観点から慎重な対応が求められます。

また、長年培ってきた企業固有のノウハウ・技術・顧客基盤といったものが廃業により失われる点も無視できません。これらは企業の競争力の源であり、売却などで第三者への承継が図れない場合において、一度失われると再建することが難しくなります。さらに、廃業の手続きには専門的知識と手間がかかり、資産の売却や負債の整理に加えて、従業員への退職金支払い、各種清算費用などが発生する可能性がある点も大きなデメリットとなりえます。

3. 廃業よりもM&Aのほうがメリットは多い!M&Aの5つのメリット

ここまで見てきたように、廃業にはさまざまな経済的・社会的なデメリットがつきまといます。一方、M&Aを活用することにより、これらの懸念を回避しながら、より前向きな事業の承継や再建を図ることが可能です。

以下では、M&Aの実施により享受できる可能性がある5つのメリットについてみていきましょう。

3-1. 自社の存続

M&Aを活用することで、企業の法人格や事業基盤を維持したまま経営の承継を実現できます。経営者は、第三者へ株式または事業を譲渡することで、これまで築いてきた企業のブランド、技術力、顧客基盤などを残しつつ、経営から退くことも可能になります。また、M&Aをすることは、単なる撤退ではなく、これまで築き上げてきたものを次世代に承継するための前向きな手段といえるでしょう。

3-2. 従業員の雇用継続

M&Aでは、従業員の雇用を維持することが可能です。廃業の場合は、原則として全従業員の解雇が避けられませんが、M&Aでは譲受企業が従業員を引き継ぐケースが多く、従業員の雇用維持が期待できます。

3-3. 引退後の資金確保

M&Aを通して得られる譲渡対価を、経営者個人の創業者利益として確保できるという点もメリットとして挙げられます。仮に会社を廃業した場合は、事業清算に伴うコストや税負担によって個人資産が減少するリスクがあります。

M&Aで適切な譲渡対価が得られれば、引退後の生活資金などを準備できます。その創業者利益を元手に新たな事業や、自らのやりたいことに再投資するという選択肢も出てくるかもしれません。

3-4. 専門家のサポート

M&Aの手続きは、会社清算手続きに比べて効率的に進めることが可能とされています。廃業の場合、法的な清算手続きが求められ、負債の整理や従業員対応、官公署への届け出など複数の手続きを進めなければなりません。未払債務が多くある状況での清算手続きとなれば、関係者との調整や法的な手続きに、より一層手間と時間がかかるでしょう。

一方、M&Aでは株式譲渡または事業譲渡を通じて事業承継が可能であり、専門のM&A仲介業者などの専門家にサポートを依頼すれば、プロセスを円滑にし、リスクを管理しやすくすることができます。特に初めてM&Aに取り組む中小企業経営者などにとって、専門家のサポートを受けることで事務作業などを含めた手続きの負担軽減が期待できる点はメリットといえるでしょう。

3-5. 個人保証から解放される可能性がある

M&Aを実施することで、中小企業の経営者が金融機関からの借入に際して負っている個人保証から解放される可能性がある点はメリットといえます。事業の赤字など自力で保証債務を返済できない場合は、M&Aによる早期の承継が、個人財産の保全手段として機能する可能性があります。

4. 廃業せずにM&Aを行う際の留意点も把握しよう

廃業せずにM&Aを行う2つの懸念事項も把握しよう

M&Aには多くのメリットが期待できる一方、M&Aを実行する際の留意点も存在します。特にM&Aの検討から成約までの時間軸や専門家への依頼に伴う費用などを認識しておくことが重要です。ここからはM&Aを選択する際の留意点について解説します。

4-1. M&A成約までの時間

M&Aは検討から成約までに一定の時間を要します。企業の株式や事業を第三者に譲渡するにあたり、譲受企業によるデューデリジェンス(財務・税務・法務等の詳細調査)、譲渡価格の交渉、契約締結に至るまで多くのステップが必要であり、成約までに6か月から1年以上を要することも珍しくありません。M&Aのプロセスが長期にわたる可能性があることは、あらかじめ認識しておくべき点だといえます。

4-2. 専門家に依頼する場合の費用

M&Aを円滑かつ確実に進めるには、M&A仲介会社や公認会計士、弁護士など専門家にサポートを依頼することが重要です。企業価値の算定、契約書の草案作成、税務・法務面の助言といった専門的な業務には、高度な知見と経験が求められます。これらの専門家にサポートを依頼する際には一定の費用が発生するため、その費用が大きな負担となる場合があります。

5. 廃業かM&Aかを悩んでいるときに考えるべきこと

廃業かM&Aかという選択の岐路に立ったときは、何を基準に判断すべきか、また、どのような選択肢が存在するのかを理解することが必要です。ここでは、廃業を決断する前に検討すべきM&Aの可能性や、専門家の助言を得ることの重要性について紹介します。

5-1. M&Aができる可能性は十分にある

業績悪化や経営環境の変化に直面して、廃業を検討している企業経営者のなかには、事業継続の可能性についてあまり前向きに考えていないケースもあります。しかし、廃業と決めつけず、事業の価値や経営資源を適切に評価し、事業承継の可能性を十分に検討することで、今後の可能性が開ける場合があるでしょう。

たとえ事業の収支悪化や後継者不在など、表面上は廃業せざるを得ないと思われるような状況にあっても、譲受企業の戦略、M&A検討のタイミングに合致すれば、廃業を検討する企業の評価が変わることもあります。安易に廃業を決断するのではなく、まずはM&Aの可能性について専門家に相談することをおすすめします。

5-2. 廃業とM&Aに詳しい専門家に相談できる

廃業やM&Aに関する専門家には、M&A仲介業者や公認会計士、弁護士などが挙げられます。これらの専門家は、企業の財務状況、成長性などを多角的に分析し、廃業かM&Aかの選択肢についてメリット・デメリットを綿密に検討できるのが強みです。

例えば、自社事業の収益性や成長性を改善できる可能性、売却価格の見込み、従業員の雇用継続の可能性など、さまざまな角度から客観的な助言をえられます。

廃業かM&Aかで悩む場合は、単独で判断せず、信頼できる専門家に早期に相談することをおすすめします。

6. 廃業予定でもM&Aで譲渡できる企業の特徴

 

廃業を検討している状況でも、企業が保有する経営資源の潜在的な価値が高ければ、第三者への株式譲渡または事業譲渡によるM&Aの可能性は十分残されています。重要なのは、譲受企業にとって足りない部分を補える技術・ノウハウなどを保有しているかです。ブランド力や技術力、人材の専門性など、財務諸表には表れにくいものの、これらの経営資源はM&Aにおいて譲受企業側に高く評価されることがあります。赤字経営に陥っていたとしても、譲受企業側に事業再生のノウハウや財務的な余力があれば、一定期間での立て直しを前提に、買収が検討されることもあります。

このように、赤字経営や後継者不在といった課題を背景に廃業を検討するような状況にある企業でも、M&Aの対象となる可能性は十分にあるといえます。

7. まとめ

まとめ

廃業するかM&Aをするかは、単なる経営判断にとどまらず、その会社の将来、従業員の雇用、そして経営者自身の人生にも大きく影響を及ぼします。廃業は企業活動の終止符である一方、M&Aは新たな担い手による事業の継続と発展を可能にする選択肢です。廃業に悩む局面においては、思い込みや先入観にとらわれず、専門家の助言をもとに慎重に検討しましょう。M&Aによる事業承継の可能性を模索することができますので、まずはM&A worksにご相談ください。廃業を検討されている経営者の方々でも、その相談に対して適切なアドバイスを提供いたします。

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