M&Aで自社のご売却をご検討している方のなかには、ご売却後に自社の従業員にどのような影響があるのか気になる人は多いのではないでしょうか。M&Aで自社をご売却された場合、譲受企業(=買収をする側の企業)によって雇用契約や待遇、退職金などに影響が出てしまう可能性もあります。
そのため、譲渡企業の経営陣は、従業員に不安を与えないように従業員への影響を把握したうえで、適切な手順でM&Aを進め、時には譲受企業としっかりと交渉することも大切です。
この記事では、M&Aによって自社をご売却された場合の従業員への影響と、その対処法、従業員に対してM&Aを説明するタイミング等について解説します。従業員も納得のいくM&Aを進めたい人は、ぜひとも参考にしてください。
※この記事で紹介する事例は、特定を避けるため、一部を抽象化、編集した上で掲載しています。
目次
1. M&Aによる従業員への影響とは?
M&Aは、企業に対して大きな変化をもたらしますが、雇用契約や待遇面など従業員に与える影響も無視できません。ここでは、M&Aが従業員に与える影響について解説します。
1-1. 雇用契約に影響する
M&Aが実施された際には、従業員の雇用契約に影響が生じる可能性があります。例えば、事業の一部を売却するなどに用いられる「事業譲渡」というM&Aの手法の場合、ご売却する事業の中には、その事業に従事する従業員も含まれることになります。その場合、従業員それぞれに対して雇用契約を引き継ぐか否かを決定しなければなりません。具体的な例を挙げて説明します。
ご売却される事業に10人の従業員が従事している場合、その10人全員が必要であるかどうかを譲受企業と協議を重ね、両者が納得した人材を譲受企業に移すことになります。極端な話、10人のうち9人のみが欲しいと譲受企業が主張してきた場合、残りの一人はご売却時の対象から外れ、自社で雇用を継続することとなります。そして9人を引き継ぐ場合には、譲渡企業と9人それぞれが締結をしていた雇用契約を解除し、新たに譲受企業と9人それぞれが雇用契約を締結し直す必要があります。この際、給与などを含めた雇用条件の見直しがあることもあります。これは、M&Aにおいて考慮すべき点とされています。
なお、事業譲渡ではなく、株式譲渡という手法でのM&Aを活用する場合は従業員それぞれの雇用契約の引き継ぎの可否については判断されず、従前と同様の条件にて従業員は引き継がれます。「事業譲渡」や「株式譲渡」などのいずれの手法にしても、従業員の雇用は継続することを前提としてM&Aが実施されますが、事業譲渡の場合は雇用契約の再締結が必要になると覚えておきましょう。
1-2. 待遇面に影響する
M&Aが実施されると、従業員の待遇面にも変化が生じる可能性があります。従業員は新たな就業規則や人事制度に従うことになるため、給与・賞与に関する評価制度や昇給制度、福利厚生、研修制度などの待遇がこれまでとは異なってくるでしょう。
例えば、譲受企業が大手の場合、買収されることで従業員の給与が上がることもあるでしょう。反対に、年功序列の廃止や業績による評価制度などが導入されると、従業員によっては給与が下がる可能性も考えられます。
また福利厚生面でも、M&Aにより健康保険や企業年金、資格取得支援などのサービスが拡充される可能性がある一方で、既存の福利厚生が受けられなくなるケースもあるでしょう。
このようにM&Aを実施することで、従業員は給与や福利厚生などの待遇面に影響を及ぼす可能性があります。
1-3. 退職金に影響する
M&Aが行われると、従業員の退職金の取り扱いについても変更が生じる可能性があります。株式譲渡で譲渡企業が譲受企業の子会社となる場合、従業員の雇用契約は新会社に引き継がれるため、退職金制度も同様に引き継ぐのが一般的です。
一方で、事業譲渡を実施する場合は、引継ぎ先である譲受企業の退職金制度に従うことになるため、従前の退職金制度が変わる可能性があります(先述したとおり、事業譲渡では譲受企業と、譲渡企業の従業員が新たに雇用契約を再度締結しなければならないことが理由です)。こうした事を鑑み、退職金制度の廃止もしくは減額となる可能性も踏まえ、従業員へ丁寧に説明する必要があるでしょう。
2. M&Aによる従業員側のメリットは主に4つ
ここまでの内容をご覧いただき、ご理解いただけたでしょうか。M&Aを実施することで、従業員の雇用契約や待遇などに様々な影響が生じる可能性があります。しかし、従業員にメリットがないわけではありません。
ここでは、M&Aによる従業員のメリットを4つご紹介します。
2-1. 後継者不在の会社において、雇用が長期に渡って継続される
M&Aでは、基本的に譲渡企業の従業員の雇用が継続されることが前提です。これは、従業員も含めた経営資源が譲受企業に引き継がれるためであることと、譲受企業もしっかりと引き継ぎたいと考えていること、からです。M&Aは、「権利」や「技術」、「ノウハウ」や「商圏」を手に入れることが目的と表現されることもありますが、実態としてはそれに紐づく「ヒト」を手に入れることが最も重要です。M&Aで企業や事業を買収したはいいものの、ヒト(=従業員)がついてこなければ、たちまち立ち行かなくなってしまうことでしょう。譲受企業は、1件のM&Aを実現するために様々な情報収集を重ねており、また、多くの助言もあることから、「ヒト」を大切にすることを心得ているケースが多いです。
ここでお考えになっていただきたいことがあります。それは、後継者不在における従業員の気持ちです。長年、譲渡企業に勤めてきた社員にとっても、現社長の次に社長になる方への関心は、非常に強いものがあります。また、後継者がいない企業において、従業員の方からは、「本当にこの会社は、いつまで経営を続けられるんだろうか」「社長が引退する前には、次の転職先を決めておいたほうが良いのではないか」など、不安に思われている声がしばしば聞かれます。しばしばお聞きします。
もし後継者が見つからず、廃業という選択しかないのであれば、既存の従業員は自ら新たな就職先を探す必要があります。こうしたことを考えると、M&Aによって長年慣れた環境で雇用が継続することは、従業員にとって大きなメリットといえるでしょう。
2-2. 待遇面がよくなる可能性がある
M&Aの実施により、譲渡企業の従業員の待遇面がよくなるケースも珍しくありません。新たな人事評価や諸手当、賞与の支給基準などがM&Aの実施前よりも手厚い内容となり、額面上の給与額が増えるケースです。
また、健康保険や企業年金などの福利厚生制度についても、より充実したサービスを受けられることで、実質的な給与額が増えることもあります。大手企業による買収の場合では、売却前よりも処遇がよくなる傾向にあるため、待遇面のメリットに期待できるでしょう。このメリットを重要視し、お相手選びをする譲渡企業のオーナーは一定程度いらっしゃいます。お相手を選ぶうえで、しっかりと確認をされるべき事項の一つとも言えるでしょう。
2-3. 仕事内容・キャリアの幅を拡大できる
M&Aによって、従業員は仕事内容やキャリアの選択肢を広げられる可能性があります。譲受企業が大手であれば、従来の会社に比べて多様な部門や職種が存在する可能性があるため、自身の適性や希望に合った仕事に携わる機会が生まれるでしょう。
これは、M&Aを実行する前に議論しておくことがとても大切になります。譲渡企業として、自分たちの従業員はどんなことを望んでいるのか。また、譲受企業は譲渡企業の従業員にどんな活躍を期待しているのか。このギャップが生じたとき、PMI(=M&Aをした後の統合業務)が上手く行かないなどの理由に繋がります。譲渡企業も譲受企業も、どちらもが従業員を大切にしたいとお考えになることは変わらない事実かと思いますが、具体的にどんなことをしてもらうのかには一定の差があることもあるため、トップ面談などでしっかり確認されることをお勧めいたします。
また、大手企業ならではの研修制度や人材育成プログラムが整備されていれば、スキルアップを図りながらキャリアを積めます。このように、働く場が広がることで選択肢が増え、仕事に関するキャリアの幅を大きく広げられる可能性があることも大きなメリットの一つです。
2-4. 大手企業グループの従業員として働ける安心
M&Aの譲受企業が大手であれば、従業員はそのグループの一員として働けるようになります。一般的に大手企業は安定した経営基盤があり、さまざまなメリットが期待できるでしょう。
前述の大手ならではの手厚い福利厚生制度や、グループ全体に適用される研修制度を導入できるだけではなく、生活に紐づくメリットもあります。
実際に大手企業にご売却をされた譲渡企業のオーナーのお話を紹介します。そのお話の内容は、「従業員のローンが通りやすくなった」というものです。今まで堅調に経営をされてきたとはいえ、上場企業のような信頼があったとは言い難かったと言います。そのため、従業員の結婚や出産を機に、住宅ローンを組みたいと言っても、現状の年収や企業の信頼と言う観点から、満足のいくような審査結果が金融機関から得られなかったと言います。しかし、大手企業とのM&Aの後に、従業員の住宅ローンの審査が大きく変わり、前向きな回答を金融機関から貰えるようになった、と仰っていました。
このように、大手企業の従業員として働くと、単純な給与などの待遇に限らず、さまざまなメリットを得られます。
3. M&Aについて従業員に説明するタイミング
ここでは、M&Aに関する内容を説明するタイミングについて解説します。
M&Aを実施する際、従業員に対してM&Aに関する事実を説明する(=以下「従業員開示」と言います)タイミングも気にする必要があります。この説明方法や内容、タイミングを間違えてしまうことで大きなトラブルに発展してしまうケースも少なくないため、しっかりと準備した上で従業員開示を行いましょう。
3-1. 従業員開示の基本的な考え
従業員開示については、”各企業においてカスタマイズである”、と考えるのが良いでしょう。それは、企業によって経営陣と従業員の関係性も違えば、従業員がその会社に占める重要度なども大きく変わってくるからです。
その上で、従業員開示における基本的な考え方は、以下の2つのことであると思います。
・秘密保持を徹底し、情報漏洩を防ぐこと
・従業員が辞めず、事業が継続できる状態を作ること
です。
3-2. M&Aを進める前
ご売却を検討されている皆様にとって、従業員の方々はどのような存在でしょうか。
ドライな表現をすれば、「雇用契約を結び、会社で労働をしてもらい、その対価として給与などを支払う存在」と言えると思います。しかし、経営をする上で、そんなドライに表現できるものではないことも多いでしょう。
従業員の方々を、「一緒に戦ってきた仲間」や「家族」のように表現される方も実際に多く、こういった観点から、「隠し事はしたくない」とM&Aを進める前に従業員開示をしたい、とお考えになる方もいらっしゃいます。
しかし、一度立ち止まっていただきたいです。まだ相手も出てきていない、M&Aがいつ実現をするかも定かではない状況において、「うちの会社をM&Aしようと思う」と明かされた従業員はどのように思うでしょうか。一昔前と違い、今ではM&Aが一般的な経営手法となりつつあります。とはいえ、従業員からすると、M&A自体は、よく分からないものです。自分たちにどんな影響があるか、どんな変化が起こるのか、不安に感じてしまうケースが多いでしょう。
良かれと思って開示したことが、結果として従業員の不安に繋がってしまい、離反に繋がったケースは少なくありません。
M&A仲介を行う立場としては、従業員開示は、M&Aが行われるギリギリまで実行しない、というのが大切だと考えています。
3-3. 基本合意書の締結前
M&Aでは、トップ面談を経て買収の条件がある程度決まったタイミングで、基本合意書と呼ばれる契約を譲渡企業と譲受企業で締結します。この基本合意書を締結する前のタイミングで、M&Aに関する従業員開示をしたほうが良いとされるケースもあります。それは、厳密に言えば「従業員」とは違いますが、役員などの経営陣クラスの人です(ここでは株主ではない役員、を指しております。株主である場合は、M&Aの前に開示されることが大事です)。経営陣クラスの人は、M&Aを進めるうえでの意思決定を含めて、M&Aに深く関わる必要があるため、基本合意書の締結前には説明するようにしましょう。
また、基本合意書の締結前はM&Aの初期段階であるため、実際にM&Aが実施されるのか不透明な部分が多いです。従業員に不安を与えないためにも、このタイミングでは経営陣以外の従業員への説明は避けたほうがよいでしょう。
3-4. 基本合意書の締結後
基本合意書を締結したあとに説明を行う従業員は、各事業部門の責任者や事業の柱となる従業員、つまり「キーマン」と呼ばれる方々です。こうした方々にM&Aに関する情報を説明する理由は、このあとのデューデリジェンス(譲渡企業の調査)の際に譲渡企業の実態についてインタビューされる可能性が高いためです。
重要なポジションの従業員は、M&Aの実施後にスムーズに事業を進めるには欠かせない存在になるでしょう。M&Aについて理解できず離職されるリスクを防ぐためにも、基本合意書の締結後のタイミングで丁寧に説明し、協力してくれるような関係性を作ることが大切です。
また、このキーマンに対する考え方は、譲渡企業の業界や、経営している状況や仕組み、権利、関係性などによっても違い、また、譲受企業によってもその捉え方は大きく変わってきます。一律に考えるのではなく、経験豊富な専門家と相談を重ねながら、方向性を決めていくことが良いと思います。
3-5. M&A実行(=クロージング)後
経営陣や重要なポジションなどの重役以外の従業員に対しては、最終契約(=「株式譲渡契約書」や「事業譲渡契約書」などのM&Aが実現する際に締結する契約)のクロージングに合わせてM&Aの情報を説明するのが一般的です。クロージングとは、取引が実行されることで、この段階で正式にM&Aが完了します。具体的な説明のタイミングとしては、クロージング前後が適切でしょう。
また、このタイミングでのM&Aについて説明は、全従業員が対象となるため、準備を怠ると誤解を招く可能性があります。そのため、説明資料の作成や新たな運営体制の構築など、綿密な準備が必要です。
4. M&Aについて従業員に説明する際の注意点
M&Aによる統合を従業員に説明する際は、以下のような注意すべきポイントがあります。
- 従業員を不安にさせないこと
- 譲受企業の担当者も参加すること
ここでは、それぞれの注意点について詳しく解説します。
4-1. 従業員を不安にさせない
M&Aについて従業員に説明を行う際は、不安を与えすぎないように細心の注意を払いましょう。自社が買収されるという知らせを受けた従業員は、自身の就労環境や将来設計に大きな不安を感じます。このような不安な気持ちを和らげられれば、従業員もスムーズにM&Aを受け入れられるでしょう。
具体的には、仕事内容や給与などの契約条件を気にする従業員が多いです。これらの質問に対して、「わからない」と伝えてしまうと従業員の不安が大きくなります。不安がつのると離職してしまう可能性があるため、契約条件を従業員に伝える際は、想定質問を用意したうえで明確に答えるようにしましょう。また、「働き方は今までと基本的には変わらない」と説明する譲受企業も多いです。今まで通りであれば「特に大丈夫」となるケースが多いため、M&A後に劇的な変化をさせない、という考えが一定以上に譲受企業側に根付いているのも事実です(そうではない譲受企業もいます)。
4-2. 譲受企業の担当者も参加する
従業員に対してM&Aを説明する際には、譲受企業の方にも参加してもらうことが重要です。譲渡企業の経営者側から一方的に説明されても、お相手がいなければ、従業員の疑問や不安を十分に払拭できない可能性があります。そこで譲受企業の社長や経営陣、M&A責任者にも出席してもらい、譲渡企業の従業員に対して説明するのが望ましいです。
例えば、M&A実施後の仕事内容や給与などの雇用条件は、譲受企業から直接説明を受ければ、従業員は情報の信頼性を高く感じられます。加えて従業員からM&A後の契約条件に関する質問があった場合、譲受企業側の人が答えることで、安心につながるでしょう。こうした対話を通じて、従業員の理解が深まり、M&Aに対する前向きな姿勢が促されるでしょう。
【コラム】従業員開示のトラブルとは?
本コラムをお読みいただき、ありがとうございます。
株式会社M&AworksでM&Aアドバイザリー業務をしております、渡辺です。
こちらでは、従業員開示で起きたトラブルの紹介とともに、そこから学ぶ正しい従業員開示について説明をしたいと思います。
従業員開示で起こるトラブルは、前述の通り、
➀情報漏えい
②従業員の離反
が代表格です。
これらにより、事業継続に何らかの支障をきたしてしまったり、M&A自体が進まなくなってしまったりするケースがあります。具体例を挙げて説明したいと思います。
【事例:東海地方で医療系の企業を営むA社におけるトラブル】
A社は20年以上地域医療に根差した経営をされており、従業員をはじめとする多くの関係者と、地域の患者様に対してサービスを展開しておられました。
経営自体は順調である一方、社長ご自身にお子様がいらっしゃらず、後継者問題を抱えておられました。そうした中で社長は情報収集を重ね、大手企業とのM&Aを模索するため、M&A仲介会社にM&Aを依頼する決心をしました。そこで、M&Aを進めるための条件が「従業員全員に対して、M&Aをする合意を取ってから、検討を本格化すること」でした。
社長は、従業員を家族としてお考えになられており、その従業員に隠し事をしてM&Aを進めることはしたくない、というものです。
そのM&A仲介会社も社長のご意向をくみ取り、納得いく形で進めようと、従業員開示を進めていきました。全従業員で15名ほどいたため、全体説明を行った後、3日間かけて個別での説明をしていく流れを取ることに。丁寧に説明を重ね、無事に従業員への説明が終わったと社長も安堵されました。
しかし、社長のお気持ちとは裏腹に、思わぬ流れに展開していきます。
なぜ従業員が退職届を…
なんと従業員開示から2か月後、社長の元へ3名の従業員が退職届を持ってきたのです。
社長としては、全員から納得をしてもらったと思っていたため、寝耳に水のような状況です。慌てて引き留め、理由を聞くと以下のようなものでした。
・「M&Aをしたら従業員の待遇は悪くなるとネットに載っていた。今まで通りに働けないのであれば辞めたい」
・「大手企業のM&A事例を同業界の知人に聞き、今の会社の文化が変わってしまうとのことだった。それなら以前から誘いがあった会社に転職しようと思う」
・「社長の事を信じてきたけど、なんだか心が冷めてしまった」
社長は、決してそんなことはない、と強く引き留めたものの、従業員3名の転職先は決まっており、結果として退職を止めることは出来ませんでした。社長として良かれと思って進めたことが、逆の結果を生んでしまいました。
このような結果の後、私はセカンドオピニオンという立場でA社社長とのご関係性を持たせていただいており、仕切り直して長期的な視点で丁寧にM&Aを進めていくという形になっております。
相手の立場を理解して開示を進められていれば…
では、本件において何が良くなかったのでしょうか。
社長とお話をした中での結論は、「相手の立場をきちんと理解して進めるべきである」というものです。従業員としては、M&Aに対して正しい知識がない中で開示を受けてしまったため、悪いことばかりの情報を集めてしまい、偏った情報の中で判断をしてしまったのかと思われます。
また、社長の想いを伝える間もなく、転職活動をしてしまったことも、従業員開示の準備不足と言えるでしょう。また、どうなるか分からない、という状況も良くなかったと言えます。M&Aをするということは、親会社ができるということになる(もしくは同様な状況になる)ため、相手選びによっては、現社長の意志とは違う形での経営もあり得るでしょう。そんな中、確定的なことを言えない現社長に対して、不満を感じてしまったこともあったようです。
専門家のアドバイスが開示時の役に立つ
M&Aにおいて、M&A後の従業員の待遇は現状維持以上であることがほとんどです(やむを得ない場合を除く)。そのため、ある程度のお相手や雇用条件が出そろってから従業員開示をされるケースが多いです。
会社のキーマンとなる方への開示は更にデリケートでより多くの準備をしなければいけないのですが、本ケースにおいては不用意に開示をしてしまうことにより、多くの退職者を生んでしまった例として、読者の皆様には「こんなことも起こりうるんだ」ということをご理解いただきたいです。
繰り返しになりますが、従業員開示はタイミングを違ってしまえば、大きなトラブルに発展してしまいます。経験豊富な専門家にアドバイスをお求めいただき、皆さんにとって安全なM&Aが実現されることを願っております。
5. M&Aによる従業員の影響に関する相談でM&Aworksをおすすめできる理由
M&Aworksでは、M&Aに伴う従業員の不安や不満を最小限に抑えるための事例やノウハウが沢山あり、適切なサポートが可能です。従業員への説明会の実施から、質疑応答の対応に関するサポート、不安解消に向けた取り組みなど、ノウハウに基づいたきめ細かいサポートをご提供いたします。
経験豊富なコンサルタントが伴走することで、従業員の理解が深まり、スムーズなM&A実施につながるでしょう。
6. まとめ
M&Aを行う際は、従業員に対して丁寧な説明を行い、理解を得ることが必要です。しかし適切な対応を欠けば、従業員の不安や不満が高まり、離職してしまう可能性があります。少しでも前向きにとらえてもらうために、説明するタイミングや質問への回答には注意しましょう。
M&Aを検討中の企業は、「M&Aworks」にご相談ください。同社では経験豊富なM&Aの専門家が、M&Aの工程に伴走し、従業員対応を含む総合的なアドバイスをご提供しています。専門家と連携することで、従業員の理解が深まり、M&Aの成功につながるでしょう。
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