【初心者必見】M&AとIPO(新規株式公開)のメリット・デメリットを比較!

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執筆者 長田和憲

明治大学を卒業後、証券会社に入社。主に中小企業オーナーを対象とした資産運用の提案に従事。その後コンサルティング会社に転職し、未上場企業から東証プライム上場企業にいたるまで、幅広い企業に対する株価算定やМ&Aに係るコンサルティングを実施、年間100件以上の案件に携わる。その後、理念に共感し、М&A worksに参画。

イグジット戦略としてM&Aが増えていく見込み

中小企業やベンチャー企業の経営者が、自社の成長や創業者利益を得るためには、M&AやIPOという手法があります。しかし、具体的な方法や実施後の影響は異なるため、どちらを選ぶかは慎重に検討する必要があります。

この記事では、M&AとIPOの意味やそれぞれのメリットとデメリットを比較します。どちらを選択するべきか悩んでいる人は参考にしてみてください。

1. M&AとIPOはともにイグジット戦略の手段

イグジットとは、企業の創業者が利益を得たり、企業の再生やさらなる成長を図ることを目的に、自社の株式をM&Aによって第三者に売却またはIPO(株式公開)することを指します。

M&AかIPOのいずれを選択するかは、事業の成長段階や創業者の意向に応じて使いわけますが、自社に合った手段を選ぶには、それぞれの特徴について理解しておく必要があります。

2. M&Aとは企業の合併・買収のこと

M&Aとは、企業の合併・買収のことを指します。M&Aにより、譲渡企業は譲受企業の子会社となったり、譲渡・譲受企業で新たな企業を設立したりします。M&Aは、後継者問題の解決や、シナジー効果の発揮などさまざまな目的で実施されますが、株式の売却による創業者利益を得るのもM&Aを実施する目的の1つです。

ここでは、イグジット戦略としてM&Aを実施する際のメリット・デメリットについて解説します。

2-1. M&Aの3つのメリット

M&Aには以下のようなメリットがあります。

・IPOと比べると、イグジットするまでの期間が短い
・カスタマイズが可能(自社が希望する内容に応じた手法を用いることができる)
・IPOに比べて株式や事業をスムーズに現金化できる

ここでは、それぞれのメリットについて補足します。

2-1-1. IPOに比較しイグジットするまでの期間が短い

企業がIPOをすると、「社会の公器」としての役割を強く求められることになります。そのため、IPOまでのプロセスでは、証券取引所や証券会社、監査法人などと細かい打ち合わせを重ねながら、しっかりとした社内体制を整備する必要があります。そのため、イグジットまでには、最短でも3年ほどの期間が必要となります。

一方、M&Aは、もちろん丁寧に検討を進める必要はあるものの、譲渡・譲受側企業の当事者間での合意で成立するものであるため、多くの場合、IPOに比べるとイグジットまでの期間は短くなります。特に、単純な株式譲渡でM&Aを実施するのであれば、ケースバイケースではありますが、着手を始めてから成約まで数ヶ月間で完了するケースもあります。

2-1-2. カスタマイズが可能

IPOでイグジットをするためには、厳格に決められたプロセスを経ることが求められます。しかし、M&Aでは、自社の状況に合わせて株式譲渡や事業譲渡など様々な手法を活用し、特定のニーズに合わせた戦略を展開することが可能です。

例えば、M&Aの手法として株式譲渡を活用すれば、譲渡企業の株式を全て譲受企業に売却し、経営権を移行できます。一方、事業譲渡を活用すれば経営権を移行せずに、特定の事業のみを売却することが可能です。

2-1-3. IPOに比べて株式や事業をスムーズに現金化できる

先述した通り、M&Aでは、IPOに比べると煩雑なプロセスを経ることなく実施できるため、自社の株式や事業をスムーズに売却、現金化することが可能です。

2-2. M&Aの2つのデメリット

もちろん、M&Aには、メリットだけでなく、デメリットも存在します。主なM&Aのデメリットは以下の通りです。

・株式の譲渡により譲渡企業は経営権を失う
・既存従業員・取引先に影響がある

ここでは、それぞれについて補足します。

2-2-1. 株式の譲渡により譲渡企業は経営権を失う

M&Aにより自社の株式の全てを売却した場合、譲渡企業の経営者は、自社の経営をコントロールすることが難しくなります。

これまで、自らの手で自社の事業やサービスを成長させてきたプロセスに強い思い入れがある方々の中には、M&Aにより経営権を失うことは大きなデメリットと感じられるかもしれません。これを防ぐためには、M&Aの交渉段階で成約後も譲渡企業の経営者が経営に携わるメリットを譲受企業側に明確に伝えておくことが大切です。

2-2-2. 既存従業員・取引先に影響がある

M&Aでは、譲渡企業側の従業員や取引先に影響が出る可能性があります。

例えば、M&Aに納得していない従業員がいる状態でM&Aを実施すれば、成約後に離職してしまうこともあります。さらに、M&Aの実施前との企業文化の違いや、譲受企業側の従業員との対立、なども離職する要因として考えられます。従業員の離職を防ぐためには、従業員の雇用についてしっかり取り決めを行い、従業員が不安を持たないよう、譲渡・譲受企業同士の経営者が協力し、丁寧に説明する必要があります。

また、M&Aによる取引先への影響として、取引条件の変更や取引の停止なども起こりえます。こうした影響を最小限に抑えるには、予め取引先との契約書なども確認し、交渉段階において、取引先への影響がでないよう譲受企業としっかり議論しておくことをお勧めします。

3. IPOとは証券取引所に上場すること

IPOとは証券取引所に上場すること

IPOとは、限定されていた株主のみが所有していた株式を、証券取引所を通じて株式市場に公開し、多くの投資家に向けて株式を売り出すことです。イグジットすることで創業者利益を得ることはもちろん、社会的信用性の向上、資金調達などを目的として実施されます。

ここでは、IPOを実施するメリット・デメリットを解説します。

3-1. IPOの3つのメリット

IPOを実施するメリットは以下の通りです。

・資金調達がスムーズに実現できる
・企業の信頼性や知名度が向上する
・既存従業員のモチベーションアップや採用力が向上する

ここでは、それぞれのメリットについて補足します。

3-1-1. 資金調達がスムーズに実現できる

IPOにより自社の株式を公開すれば、多数の投資家から資金を調達できます。
銀行からの借入以外の資金調達手段が増え、必要な資金をさまざまな手法で市場から調達することが可能になるのは、大きなメリットといえます。

3-1-2. 企業の信頼性や知名度が向上する

IPOを実施した企業は、世間からの信用と知名度の向上が見込めます。株式市場に上場することで企業は継続的な情報開示が必要となりますが、透明性の高い情報開示によって、企業の信頼性を大きく向上できます。

また、IPOを実施し、上場企業になることは、メディアによる注目度を高め、企業の社会的認知度を大きく上げることになります。企業のブランド価値を高め、結果的に、取引先や消費者からの信頼を得やすくなる効果が期待できます。

3-1-3. 既存従業員のモチベーションアップや採用力が向上する

IPOを実施することで、社会的に信用の高い上場会社で働いているという点から、従業員のやる気が高まることも期待できます。また、株式による報酬制度やインセンティブプランを用いて、それが従業員の資産形成につながることを上手く示すことができれば、従業員のモチベーションアップを図ることも可能になります。

加えて、企業の知名度と信頼性が向上することにより、企業の採用力に貢献することも見込めます。優秀な人材の獲得により、企業の競争力強化や事業のさらなる成長に寄与することが期待できます。

3-2. IPOの3つのデメリット

IPOには、先述のようなメリットがありますが、それに伴うデメリットもあります。IPOのデメリットは以下の通りです。

・M&Aに比べて時間がかかる
・IPOまでに多くの費用がかかり、無駄になる可能性もある
・経営責任・社会的責任が増大する

ここでは、それぞれについて補足します。

3-2-1. M&Aに比べて時間がかかる

IPOを達成するまでには、長い時間と根気が必要となります。先述した通り、厳格なプロセス・審査を経る必要があるため、IPOが実際に承認されるまでには、最短でも3年ほどの期間が必要です。

この期間に企業が直面する事業環境は大きく変化する可能性もあります。経済情勢や業界内における競争環境の変化は、IPOを準備している企業にとって大きなリスクとなりえるでしょう。

3-2-2. IPOまでに多くの費用がかかり、無駄になる可能性もある

IPOを実現するには、単に時間がかかるだけでなく、莫大な費用が発生する点もデメリットの1つです。この費用には、主幹事証券会社に対して支払う上場準備手数料や監査法人への報酬といったコストに加えて、法務関連のコストなど、様々な専門家に支払う手数料などが含まれます。

これらのコストは、企業にとって大きな負担となります。さらに、これらのコストを投じた後でも、実際にIPOができるかはわかりません。IPOができなかった場合、せっかく投じた時間と費用は回収できないため、企業にとっては単純な損失となってしまいます。

3-2-3. 経営責任・社会的責任が増大する

IPOを実施し、上場企業となった会社の経営陣は、多くの株主をはじめ、様々な利害関係者に対する説明責任が増します。そのため、開示する情報(ディスクロージャー)を充実させる必要性があります。

加えて、上場企業としての社会的影響力が大きくなったことにより、地域社会への貢献やコンプライアンス体制の強化といった取り組みも求められます。

4. イグジット戦略としてM&Aが増えていく見込み

経済産業省が令和3年に発表した「大企業×スタートアップのM&Aに関する調査報告書」によると、2019年時点の日本のイグジット戦略の手段として最も活用されているのはIPOでした。全体の約70%がIPOを選択しており、M&Aを選択した企業は約30%という結果になっています。

※参考:経済産業省│大企業×スタートアップのM&Aに関する調査報告書

政府はこれを受け、「株式交付制度」「M&Aに関する減税措置」などのイグジット戦略の手段として、M&Aを実施しやすくするための制度の整備を進めています。こうした動きにより、今後はイグジット戦略の手段としてM&Aが増えていくと考えられます。

5. イグジット戦略においてM&AかIPOの判断基準

イグジット戦略を検討する際、M&AかIPOのいずれかを選択する際にはいくつかの判断基準があります。イグジット戦略を検討する際の主な判断基準は以下の通りです。

イグジット戦略に適した方法判断基準
IPO事業拡大のための資金を調達したい
企業の認知度や信用を高めたい
株主からIPOを期待されている
M&A大企業の傘下に入り自社をさらに成長させたい
後継者問題を解決したい
比較的短期でイグジットを実現させたい

上記のような項目を総合的に勘案し、自社にとって最適なイグジット手段を戦略的に選択していくことが重要です。

6. イグジットを成功させるためにM&Aworksをおすすめできる理由

M&Aを成功させるには、M&Aの専門家に依頼することがおすすめです。多くのM&Aの支援実績があるM&Aworksは、豊富な経験をもとに、譲渡企業の希望するM&Aを実現いたします。

当社のサービスの大きな強みは、M&Aのプロセス全般をワンストップでサポートできる点にあります。規模の大小や業種を問わず、潜在的な譲受企業の紹介が可能です。

また、M&Aworksには、IPO支援に携わっていたコンサルタントも在籍しており、IPOを選択する際にも様々な角度から支援が可能です。

初回のご相談は無料!まずはお気軽にご相談ください。

7. まとめ

M&AとIPOは、イグジット戦略の手段として活用されます。自社の事業段階や資金ニーズ、経営者の意向などに応じて、戦略的に使いわけることが大切です。

イグジット戦略にお悩みの方は是非「M&Aworks」にご相談ください。お客様の思いに向き合い、お客様が望むイグジット戦略を成功できるようにサポートいたします。

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